ice_blog

思ったことを忘れないように、考えたことを思い出せるように

review(本)

キングダムに見る法の概念と現代憲法

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。 『日本国憲法前文』_______________________________________ 一年半振りの更新である。 いろんな漫画を数多く読むというよりは、特定の漫画ばかり何度も読んでしま…

教育を投資として見た場合 - 学力の経済学

答えは明らかにイエスなのだ。フランク・ロイド・ライトが最高の仕事をしたのは70の時だ。アルフレッド・ヒッチコックが軌道に乗り始めたのは60近くになってからだ。ベートーベンが第九を作ったのは? 50代だ。『天才になるのに遅すぎるということはない』 / …

アメリカ大統領制の現在

「民主主義は過大評価されている」 『House of Cards』 / David Fincher_______________________________________ 数ヶ月前からNetflixでだらだらと『ハウス・オブ・カード』を観ていて、アメリカの大統領制について理解をしながら観たほうが面白いだろうと…

文部省の研究~啓蒙主義と儒教主義の対立~

日本の教育はこのあと、啓蒙主義や儒教主義や国家主義など、さまざまなイデオロギーに振り回されることになる。文部省の設置は、今日まで延々と続く、長く険しい「理想の日本人像」探求のはじまりでもあった。 『文部省の研究 「理想の日本人像」を求めた百…

静かな黄昏の国

遠い昔から、鎮守様の森の木を切れば祟りがあったし、ケルトの森にも、ゲルマンの森にも、魔が棲んでいた。森とはそういうところです。森は怖いところであるべきです。森に癒されるだの、自然に優しくだのというのは、前世紀の人々の感傷です。 『静かな黄昏…

サピエンス、その不思議なるもの

犯人は、小麦、稲、ジャガイモなどの、一握りの植物種だった。ホモ・サピエンスがそれらを栽培化したのではなく、逆にホモ・サピエンスがそれらに家畜化されたのだ。 『サピエンス全史』 / ユヴァル・ノア・ハラリ ________________________________________…

採用基準 - 日本社会とマッキンゼーが求める人材の共通点について-

そもそも「船頭多くして船山に登る」ということわざにおける船頭を、リーダーだと解釈するのは明らかに間違っています。 『採用基準』 / 伊賀泰代_______________________________________ カリフォルニア大学バークレー校でMBAを取り、マッキンゼーでコンサ…

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンには一度、2012年に訪れたことがある。その時は、2004年に経営破綻した後のV字回復の坂を駆け上っていた瞬間ではあったのだが、そんなことは露知らず、大阪に来たのだからUSJにも行ってみようと思い足を運んだのだった。し…

12月8日と8月15日

「鈴木」と親しく名をよんで、退出する首相の足をとめた。「ご苦労をかけた。本当によくやってくれた」と優しく天皇がいった。さらにもう一言、「本当によくやってくれたね」といった。 『十二月八日と八月十五日』/ 半藤一利______________________________…

シルバー民主主義

日本の高齢者は、正月に孫にお年玉をあげることを楽しみにしている。逆に、孫のお年玉を取り上げるような高齢者は、およそ考えられない存在である。しかし、家族の中では起こり得ないようなことが、現に日本の社会保障制度では生じている。 『シルバー民主主…

意志の調和された世界<harmony/>

「わたしには、人間の意志を制御しようとする試みそのものが、大問題に思えるけど」 『ハーモニー』 / 伊藤計劃_______________________________________ 『虐殺器官』を読んだときから、読もう読もうと思っていた伊藤計劃の遺作『ハーモニー』をようやく読…

若き歴史学者のアメリカ

まさに貧乏を極めながら手にする小さなヴィトンだった。 『ハーバード白熱日本史教室』 / 北川智子 _______________________________________ カナダの大学に入学し数学と生命科学を専攻していたはずなのに、大学院で日本史を専攻することとなり、その後ハー…

知の逆転-現在の課題とこれからの予測-

「人生の意味」というものを問うことに、私自身は全く何の意味も見出せません。人生というのは、星や岩や炭素原子と同じように、ただそこに存在するというだけのことであって、意味というものは持ち合わせていない。 ジャレド・ダイアモンド _______________…

暗号解読 - ヴィジュネル方陣やらエニグマやら -

魔法の秘薬にりんごを浸けよう。永遠の眠りがしみ込むように。 『暗号解読』 / サイモン・シン_______________________________________ なんだか落ち着いてきたので随分前に読んだ本を忘れないようにまとめておこうかと思う。昨年読んだ本のなかでは一番面…

二十世紀 日本の戦争

やはり日本がこの戦争を、精神においても体験しなかったことは、世界史から取り残されたといっていいほど決定的だったと思います。『二十世紀 日本の戦争』/ 阿川弘之ほか_______________________________________ 通勤時間を使って、ようやく『二十世紀 日…

戦争プロパガンダ

「そこで、あんたはなにを見つけたんだ」「虐殺には、文法があるということだ」 『虐殺器官』 / 伊藤計劃 ______________________________________________ 第一次世界大戦以降、政府やメディアは国民を気分良く戦争に参加するためどのように情報を伝えてき…

代理ミュンヒハウゼン症候群

わが子を病気にしたがる親がいる。 子の病気をつくり出し、医師をはじめとした医療機関を巻き込んで子に不必要な検査等を受け続けさせ、長期間の入院を歓迎する。 なぜそんなことをするのか? (Amazon紹介文より) 代理ミュンヒハウゼン症候群 (アスキー新書…

俺の...

先日借りた『俺のイタリアン、俺のフレンチ』/ 坂本 孝 を忘れないようにメモっておこう、図書館で借りると読みたいときに読めないのでいちいちメモっておかなければならないのが玉に瑕。 俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり…

文部科学省-「三流官庁」の知られざる素顔

少し前に読んだ文科省に関する新書で気になったところを忘れぬ程度にメモしておく。 文部科学省 - 「三流官庁」の知られざる素顔 (中公新書ラクレ) 作者: 寺脇研 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2013/11/08 メディア: 新書 この商品を含むブログ (7…

君のいる町といない町

本当は こんな僕でももう分かってる君は僕が好きじゃないだけだ君が好きなのは僕じゃないだけだ『じゃあ、何故』 / 阿部真央____________________________________________ 年末は『ハクバノ王子サマ』にハマっ…

葉っぱ売りの...

でも、とりあえず書いてみるか。書けば、自分もまた変化するだろう。そうすれば、もっと深い考察ができるようになるかもしれない。『人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか』 / 森博嗣__________________________…

純愛適齢期

欲情をそそる度合いで言えば、清純さこそが最も卑猥なのではないか。『九月が永遠に続けば』 / 沼田 まほかる__________________________________________________ 最近ドラマ化された『ハクバノ王子サマ』という漫画を今更読んでみた(刊行は2005年)、沼田…