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ice_blog

思ったことを忘れないように、考えたことを思い出せるように

純愛適齢期

欲情をそそる度合いで言えば、清純さこそが最も卑猥なのではないか。

『九月が永遠に続けば』 / 沼田 まほかる
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最近ドラマ化された『ハクバノ王子サマ』という漫画を今更読んでみた(刊行は2005年)、沼田まほかるは「清純さこそが最も卑猥」というが、『ハクバノ王子サマ』を読んでみると健気さも十分にイヤラシく感じる。8年も経ってから読んで今年一番ハマってしまったかも知れない。

 

ハクバノ王子サマ 4 (ビッグコミックス)

ハクバノ王子サマ 4 (ビッグコミックス)

 

 あらすじ

ビジネスマンから転職し、私立小田原女子高等学校に赴任してきた新任教師・小津晃太朗。元来年下に興味がなく婚約者もいる彼は、着任早々の生徒への挨拶で 年下に興味が無いことを宣言する。そして副担任となったクラスの7歳年上の担任教師・原多香子に惹かれて行く。本作はこの2人を中心とした、揺れ動く男女の心模様を描く。(Wikipediaより)

 

  • タカコサマ

生真面目で融通が利かず、自立したお堅い女教師・原多香子をからかい学生たちは”タカコサマ”と呼ぶ。そんなタカコサマ私生活もさぞかしお堅いのかと思いきや、そんなことはなく、どんな時でもビールが一番で彼氏はいないけど不倫相手はいる、というように全く堅くない。むしろユルい、ユルい上にだらしない。なんだか『言の葉の庭』の雪野先生を思い出してきた、そういえばあれも女教師だった、どうなっているのか。

要はタカコサマは寂しがり屋なのだ、婚約者を待っている年下の男に振られ、寂しさのあまり妻帯者の腕を掴んでしまうほど自分の気持ちをコントロール出来ていないのだ。

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 お前が言うなである。

 

そんなタカコサマは小津先生の事が気になり始め、意識するようになり、小津先生の行動一つ一つに心を掻き乱される。そうこれは25歳の小津先生が32歳のタカコサマを振り回すお話。しかしタカコサマも勝手である、好きなのに職場では「仕事の話以外しないでください」なんて言ったかと思うと酔っ払って小津先生の鼻の頭を触ろうとしたりする、なんだか昔懐かしいツンデレという響きを思い出す。

 

  • 待っているだけでは白馬の王子様はやってこないと気付く

なぜタカコサマばかり振り回されるのか、それは単に「7歳も年下だから」とか、「婚約者がいるから」とか、いろんな遠慮する理由を探し出して何もしないで一人で悶々としているからである。最後にようやくそれに気付いて自分の気落ちを告白する。

動かないことが大人として落ち着いていることだと、自分をごまかしていたんです。
そのくせ、誰かに自分を救ってほしいと虫のいいことを考えていました。
この先もきっとそう思っていたでしょうね
動いても苦しいかもしれない・・・何も変わらない・・・いや、もっと苦しくなるにちがいないって。でも・・・動いて良かった。

何かの決断に二の足を踏むことがあったら思い出そう。

 なんだか『ナラタージュ』の泉を思い出した。いつだって振り回される側は健気である。相手と自分の気持ちの溝に落胆し、伝わらない気落ちに焦れる。自分の気持ちを伏せて諦めるべきか、それとも素直になった方が良いのか、綺麗でも美しくもないその気持ちの葛藤がイヤラシく人間的に描かれている。