読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ice_blog

思ったことを忘れないように、考えたことを思い出せるように

文部科学省-「三流官庁」の知られざる素顔

 

f:id:y_ice24:20140506025746j:plain

少し前に読んだ文科省に関する新書で気になったところを忘れぬ程度にメモしておく。

 

 

  • 中庭の「さざれ石」

本来細石=小石であるはずの「さざれ石」が「巌となりて苔のむす」なんていうのは非科学的でありえないと批判されるが、実際は石灰石が長い年月のあいだで雨水などで溶解されその過程で生じる乳状液小石を凝固させて巨石となる。「石灰石角礫岩」という学名を持つ。

 

  • 政策官庁への転換

81年から83年まで設置された第二次臨時行政調査会(土光臨調)は財政支出の拡大路線を戒め予算にシーリングを設けるとともに、各省庁に対し事業メンテナンス官庁から政策官庁へと舵を切るよう促した。霞ヶ関全体で「政策官庁への転換」が合言葉となった。

 

84年から87年まで文部省の最高審議会である中央教育審議会中教審)が活動休止を命じられ、代わりに首相直属の臨時教育審議会(臨教審)が設置された。
87年に出た結論が「生涯学習社会への移行」、その後文部省が実施した「新しい学力観」や「ゆとり教育」、高等教育における大学改革、社会教育における学校依存から家庭、地域教育力の再興、これらは全部生涯学習社会の実現という流れに沿ったもの。

 

  • 前例のない新しいものにも挑まなければならない

中教審が活動休止させられ臨教審の発足で苦汁をなめ舐めた文部省だったが、臨教審の審議に関わっていく中で政策官庁へと転換していった。
政策を実現するための工夫やアイデアに知恵を絞り政策の広報にも気を配るようになっていった。
88年から行われるようになった『高等専門学校ロボットコンテスト』、『芸術文化振興基金』、『スポーツ振興基金』、『サッカーくじ』など。
このような流れのなかでキャリア官僚の意識も変わっていった、それまでは「事務官僚は教育内容に関与せず」だったのが、臨教審答申を反映した92年小学校、93年中学校、94年高校の学習指導要領改定からは事務官僚も積極的に業務に加わりだし、95年には教育課程企画室が設けられキャリア事務官僚が時期指導要領改訂を牽引していく。

 

私学関係者が文科省に足を運ぶことになるのは、大学そのものの設置、学部、学科の設置の認可を受ける場合が一番多い。認可申請のためには俗に「トラック一台分」と言われる大量の資料を用意する必要があった時代もあり、それをクリアしても設置審議委員会の査問を受ける必要があった。
無事に開設したとしても国立大学とは違い国からのバックアップもなく、私立学校振興助成法による補助も予算が縮小されている。結果として私立大学人は文部科学省にお世話になっているという意識もなければ、自分たちの「総本山」という意識もない。
対して国立大学の職員となると大学と本省との間の転任制度により大学→本省→大学→本省と転任することもあることから当該大学の所属というよりは文部省の所属と感じるものもいた。
しかし04年の国立大学法人化がすべてを変えてしまった。各大学は独立した経営主体となり、転任制度も別機関への転籍ということになり天下り呼ばれされかねない状態になってしまった。
本省のノンキャリアの人事コースは乱れ、大学側も優秀な人材を本省に送り込むことはなくなってしまった。文科省と国立大学との間で新たな人事交流システムを構築することが必要。

 

  • 大蔵省との政策論

それまでは頭を100回下げて予算を取っていたのが、政策官庁を目指すようになってから変わった、予算枠のなかでメリハリの聞いた編成をして、そのなかで予算を減らす「犠牲打」の価値が認められるようになってきた。
大蔵省主計局との事務調整を行うのは官房会計課予算班でこれは省内で最も結束の固いノンキャリア集団、大蔵省でも主計局は主計官や主査を助けるノンキャリアの力量が際立っている、こうした予算担当ノンキャリアの周到な根回しなくしては政策論も通用しない。

→『ハンニバル戦記』のときに塩野七生が言っていた『主戦力を有効に使うには、非主戦力の存在が不可欠』と良く似ている

 

通産行政の行き詰まりが取り沙汰された際の「センミツ」という千のうち三つでも成功すれば良いというなりふり構わぬ通産攻勢、政令改正しなければ設置できない課の代わりに室を自在に作り大きな業務に対応させる通産省、旧内務省系の高いプライド、「天皇陛下の官僚」意識を受け継いでいる外務省、さまざまな省庁模様。

 

たとえ霞ヶ関の「世論」が文科省を「御殿女中」呼ばわりしても国民のために大臣はじめ政務三役に仕えるのが正しい道、本来の官僚、官吏としての吏道。

 

  • マルブン一家

キャリア、ノンキャリアの垣根を超えた家族性

 

首長が直接教育行政を担当するシステムになると政治家である首長が変わるたびに教育に大規模な方針転換が行われかねない、また目先の短期的な成果ばかりを追わないように政治に影響されない地点に権限をおいたシステム。政治的中立性の確保と中長期的視点が教育委員会の根本的な役割。

→国政レベルにも同様のシステムが必要では?それが中教審