ice_blog

思ったことを忘れないように、考えたことを思い出せるように

9月6日から札幌で起こったこと

 

人の真心や優しさがはっきり見えたら
ありがたくてありがたくて壊れちゃうよ
だからそれをお金に置き換えて 見なかったことにするんだ
この世界は本当はやさしいんだよ

リップヴァンウィンクルの花嫁』 / 岩井俊二
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北海道というのは台風は来ないし、地震もそんなに多くない、大雨洪水もそんなにないし、災害とは無縁だなあ、確かに雪は大変で『試される大地』というキャッチコピーはあながち間違いではないけれど、でも言うほど過酷な土地ではないよね。

 

と道民が思っていたところ(※個人的な意見です)、台風の翌日地震アンド大規模停電のコンボである。

被災されている方にお見舞いを申しあげるとともに、既にライフラインが復旧して日常生活に戻りつつある身としては、すべてを忘れて仕舞う前に記録を残しておくのも必要かと思う。

 

  • 9月6日(木)3時7分

iPhoneのアラームで起きる、揺れている、とても揺れている。今年の5月に引っ越してきたばかりの家が揺れている。壊れるのではないかというくらい揺れている。なにかガラスが割れる音が聞こえる。そういえば地震保険には入っていなかった、もう家が壊れなければ何が壊れてもいい、という心境。

これ、落ちたと思った。

 

揺れが収まったタイミングで家族の安否を確認しにいく、電気がつかない...
続く余震、前日に飲んで帰ってきているので頭が痛い。外が明るくなってきて4時くらいにうとうとしながら寝る。多分朝には停電も直っているだろう。頭が痛い、飲みすぎた。

 

  • 9月6日(木)6時

直っていなかった。

電車の音も聞こえない、6時過ぎに職場の人から電話が入る、「とりあえず自宅待機で」と。出勤しようにも市内いたるところで停電となっていて、JRも地下鉄も全部止まっているっぽい。停電なのでテレビも見れず、ここら辺の情報はすべてTwitter

リアルな知り合いもリアルじゃない知り合いじゃない人も、TwitterやLINEでいろいろと教えてくれる「8時に大きな地震がくるらしい自衛隊情報です!」、「昼から断水するかもしれません、議員が言ってました!」、「やっぱり昼からの断水はデマでした、と議員が言っていました!」もう、なにがなんだか。

iPadでテレビを見ることができないか試してみたが、iPadへはブルーレイレコーダーから飛ばしていたので、レコーダーの電源が入っていないとテレビは映らないようだった。何かアプリでニュースが見れるのでは、とAbemaTVを見るとちょうどHTBのニュースが放送されていた、素晴らしい!全道規模で停電だと知る、素晴らしくない!

 

  • 9月6日(木)8時

iPhoneの充電が0%を迎える。前日に充電していなかった。使えなくなるの早すぎ。

9時過ぎに近所の知り合いのところへ、「もうどうすることもできないから庭で寛いでました」、心の中でいいねボタンを押してホームセンターへ。

駐車場が見えてきたあたりで、様子がおかしいことに気が付く、あの人の列は...?隣の食料品店の列...??

ホームセンターへ入るための人の列が長すぎて隣のお店の前を通り過ぎて並んでいるようでした。入り口でアナウンスしているお店の人に聞くと、「店内真っ暗なため入場制限をしている、既にバッテリーはない、並んでもらっているけどその他の物もいつ無くなるか分からない、それでも良ければ列へどうぞ。」

諦めて帰ろうかと思ったが、併設しているパン屋なら入れるか聞いたところ、「パン屋なら並ばずに入れる」とのことだったので、食料を確保することに。ありがたい。パン必要、絶対。

帰りにイオンがどうなっているのか興味本位で見に行こうと思ったけど、店の前が行列でごった返しているのでそのまま帰る。

帰っても停電は復旧しておらず、iPadのAbemaTVでニュースを見ると「完全復旧までは一ヶ月掛かる見通し」とか言う情報が流れて、絶望的な気持ちになる。北海道が試されている。一体誰に?北電?

 

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冷蔵庫が使えなくなったので食材を処理するためか、近所の方たちが庭先でバーベキューの準備を始めている、みなさん楽しんでいらっしゃる。

どうせ今日も電気は復旧しないだろうと諦め、夕方明るいうちに夕食を食べ終わる。冷凍してあったお肉やらコロッケやらなんやかんや、豪勢な夕食が最後の晩餐を思わせる。

 

  • 9月6日(木)19時

既に真っ暗。することもないので、懐中電灯を手に近所を散歩してみた。街灯もなく、信号も消えて本当に真っ暗だったので、夜空は綺麗で、星もしっかりと見えた。こうして明かりの消えた街で綺麗な夜空を見上げることは今後出来ないのかと思うと感慨深い。感慨深いが早く復旧してもらいたい。北電の車が通り過ぎたので、「頑張れー、頼むよー」とエールを送る。

近所の人もランタンや懐中電灯を片手に、または何も持たずに散歩を楽しんでいた、みんな考えることは同じである。

結局20時過ぎに就寝。

 

  • 9月7日(金)5時

寝るのが早いので起きるのも早い。まだ電気は復旧していない。昨日送ったエールは届いていなかったようである。

自転車で近くのJRの駅まで行く、駅員さんに話を聞くと「とりあえず昼までは運休です」とのこと。全く見通しは立っていないそうです。

その足で少し離れている地下鉄宮の沢駅まで行く、このあたりまで来ると電気が復旧している。文明開化感漂う。でも駅は閉まっていて入れない。

信号も動いているけど、よく見ると所々発電機を置いて対応している。

心なしか車の数も少ない、スーパーもコンビニも手書きで閉店の貼紙が貼られている。なんとなくすべてに諦めがついてくる。

どうも市内でも復旧しているところが出てきているとのことで、親戚の家にいきiPhoneiPadとモバイルバッテリーを充電させてもらい、シャワーをして仕事に向かう。

結局、この日の夜に自宅の電気が復旧、2日間電気がない生活を送った。2日で良かった、本当に。

なお、泊発電所のあたりは地震発生の当日昼頃には電気が復旧していたっぽい、北海道で最初に電気を回さなきゃならないとこってそこだよね。

 

電気がない間、辺りを歩き回りいろいろと考えた。(もはや考えることくらいしかやることがない)

ホームセンターに行って店員さんから話を聞いているときや買い物を待っている間、外で列を誘導している人を見ていると、制服を着た店員さんもいればそうじゃない私服の人もいて、どうも本来出勤じゃない店員さんも私服で業務にあたっているようだった。

なんだか、その光景を眺めて、なんとも言えない気持ちになった。

行列を捌いたり、暗い店内で誘導したりしている人たちの家も停電になっているはずで、そこには家族もいるはずで、でも家が停電になって困っている人たちの対応をするために今は出勤してきて...。

それらの行動を支えているのは『仕事だから』、『給料をもらっているから』ということではなくて、『困っている人がたくさん来るだろうからなんとかしなくては...』という一種の使命感や優しさみたいなものではないかと思った。

ネット上では、『地震があって、電気が止まって電車も動かない、こんなときに出勤するなんてどれだけ仕事が大事なのか?』という意見もあるけどホームセンターやスーパーの店員さんたちや電気や水道を管理する人たちが、大きな地震で混乱しているなかでも出勤してくれているおかげて、とっても不便な非日常が、便利だったはずの日常に少しずつ近づいていく、そんな気がした2日間でした。